室内でワンコを飼っていると、足滑りが心配になりませんか?歩くたびにツルッと滑ってしまうと、足腰の負担になり、将来歩けなくなったりする恐れがあると聞きます。
うちにもミニチュアダックスがいるので、いつまでも元気にお散歩行けるだろうか・・・と常に気になっています。
そんな飼い主さんへの解決策として「UVフロアコーティング」という商品があると知り、実際の施工の様子を取材してきました。
ペットの滑り止め効果がある上、フローリングがきれいになるし、良いずくめ!
・・・と言いたいところですが、良いものだけに、それなりのお値段になるのがネック。
フロアコーティングの体験談って少ないみたいだし、本当に効果あるのかな?高額だから決めかねる、って迷ってる方の参考にして頂ければと思います。
フロアコーティングの種類
フロアコーティングとは、樹脂やガラスの被膜で床を保護する施工です。
ワックスよりもはるかに耐久性が高く、10年〜20年ほどもつため、毎年塗り直す必要がありません。
大きく分けると4つの種類があり、それぞれに特徴があります。
種類 | 特徴 | 耐用 年数 | 価格 相場 |
---|---|---|---|
ガラス | 新築住宅むけ 自然な仕上がり | 20年 | 高い 平米5,000円 |
UV | 中古住宅むけ 強いツヤのある仕上がり | 15〜20年 | 高い 平米5,000円 |
シリコン | 安くしたい人むけ 価格が安く柔らかい | 10年 | 安い 平米3,000円 |
水性 | 強度が低い 価格が安い | 5年 | 安い 平米1,500円 |
もう少し詳しく、特徴を説明します。
ガラスコーティング
- もっとも耐朽性が高い
- 薄い被膜
- 自然なツヤと仕上がり
- 熱に強い
- 床の見た目を大きく変えたくない新築向け
- 価格が高い
UVコーティング
- 耐久性が高い(20年)
- 一瞬で固まるので施工が早い
- 薬品(塩素)に強い
- 熱に強い
- 被膜に厚みがあり、強いツヤが出る
- 価格が高い
シリコンコーティング
- 価格が安い
- 柔らかい
- 乾燥に2日かかる
- 日光に当たると黄ばみやすい
主流は、UVコーティングとガラスコーティングです。
新居の床が傷つく前に、保護目的でよく使われるのが、ガラスコーティング。
中古住宅のフローリングの傷みを補修しつつ、きれいにする目的でよく使われるのが、UVコーティングです。
UVコーティングのメリット
今回取材したUVコーティングには、耐久性の他にもたくさんメリットがあります。
1. 滑り止めになる
ペットを飼っている方への、最大のおすすめポイントがこれ。コーティングをすると床が滑りにくくなるので、犬の足にかかる負担が激減します。
2. 瞬間硬化するので乾燥時間が0(ゼロ)
UVコーティングは瞬時に固まるので、施工後、すぐに部屋を使用することができます。
住みながらコーティングする場合、乾燥に何日もかかると生活ができなくて困ってしまいますが、UVコーティングなら広い面積も1日で終わります。
3. 床の耐久性が上がる、汚れがすぐ取れる
表面を非常に硬いコーティング剤でカバーするので、犬の爪が当っても、床に傷が入りにくくなります。
犬が水をこぼしたり、オシッコしちゃった時だって、サッと拭いたらOK。
ちょっと見づらいですが、これは、水をこぼした時の写真。
手前は普通の床で、奥がUVコーティングをした部分です。コーティングした床は、水をはじいているのがわかりますでしょうか。
ワックスの場合、拭き掃除を繰り返すと被膜が取れてフローリングが傷んでしまいますが、コーティングは水や洗剤にとても強いので、床をキレイなまま保つことができます。
4. 安全性が高い
シックハウスやアレルギーの原因になる「ホルムアルデヒド」や「アセトアルデヒド」を含まない商品がたくさん出ているので、安全に施工できます。
施工時の刺激臭もほとんどなく、犬や赤ちゃんがなめても大丈夫なほどに安全です。
UVコーティングのデメリット
次は、きちんと知っておいて欲しいデメリットについてご説明します。
1. 料金が高い
最大のデメリットは、値段が高いこと。自分でワックスをかけると数千円で済むのに対し、フロアコーティングは10万〜20万円以上のまとまった出費になります。
2. やりなおしができない
コーティングは床に密着して硬化するため、簡単に剥がすことができません。
やはり気に入らないからやり直したい・・・となった場合、取り替えが難しいです。
一部が傷んでしまった場合は、部分的に張り替えることは可能です。
その場合、ワックスのように剥離(はくり)することができないので、手作業でコーティングを削って塗りなおしをします。
フロアコーティングの流れ
2019年の2月に、東京で13畳のリビングをUVフロアコーティングする工事を見せてもらいました!
10時頃にスタートして、17時半に終了。途中で40分ほどのお昼休憩をはさんで、全部で7時間!なかなかの長丁場でした。
取材させて頂いたのは「マイスターコーティング」さん。ハウスクリーニング大手の「おそうじ本舗」さんの関連企業です。
※「マイスターコーティング」は、2021年10月1日より、グループ業者の「おそうじ本舗」と統合し、おそうじ本舗のハウスコーティングサービスに変更しました。
マイスターコーティングさんのHPはこちら(※おそうじ本舗さんのサイトに遷移します)
Sさんのお家では、去年、めっちゃ元気な柴犬の女の子を迎えたのだそう。かわいくて仕方ないのだとか。
1. 業者さん到着、家具を移動
業者さんがたくさんの荷物を持って到着。マンションの入り口から3往復くらいしてました。
家具はすべて、マイスターさんで移動してくれるそうです。
廊下や壁の境目には、養生テープを貼っていきます。
見慣れないお掃除グッズがいっぱいで、興味しんしんのわんこ。
業者さんにじゃれつくので、ケージの中で待っておいてもらう事になりました。
2. ワックス剥離(はくり)
ワックスの剥離(はくり)剤を塗って、表面を覆っていた古いワックスを取り除きます。
やはり、長年の汚れを受け止めたワックスは相当汚れていたようで、はくり材が真っ黒になっていました。
汚れたワックスがなくなると、本来のフローリングが見えるようになりました。これだけでも、すごくキレイ!
ところどころ、細かいヒビ割れがあるのって何でですか?
3. 下地調整
目の細かいヤスリでフローリングの表面を削っていきます。
4. 拭き取り・ホコリ取り
アルコール性の溶剤で床の拭き取りをします。
業者さん、髪の毛が落ちないように、シャワーキャップみたいのをかぶってました。
さらに、粘着テープのコロコロをかけて、わずかなホコリも取り除きます。
5. UV塗膜
いよいよコーティング剤を塗っていきます。
ニスみたいなすごい臭いがするのかと思いきや、全くの無臭でした。
4. UV照射
UVライトを照射する機械が登場。この強烈な光をコーティング剤に当てると、溶剤が一気に硬化してプラスチックみたいになります。
業者さんは、なんだかすごいことになっていました。かなり怪しいですw
機械の電源が入ると、ブオーンっという、けっこうすごい音がしました。騒音ほどでもないのですが、最強で扇風機をかけた時くらいの音です。
重そうな機械をすこーしづつ、床にあてていく業者さん。本当に大変そうです。
半分まで終わったのがこの状態!
右半分はツヤツヤになっているのがわかりますね。
床全部のコーティングが終わったのがこちら。
施工前と後を比較すると、もっと変化が分かりやすいと思います。
施工前は、長年のワックスで塗り固めたられた汚れで、床が少しくすんでいました。あと、細かい傷が目立つ。
施工後は汚れと傷がなくなって、ツヤが出て床がピッカピカ。
わんこも、なんだか嬉しそう。
5. お手入れ方法の説明
家具を元に戻した後、お手入れ方法の説明がありました。
・ワックスがけは不要。
・お掃除は、掃除機と雑巾がけでOK。
・アルコールを含んだウェットシートも使用可。
今日1日、ケージの中でおりこうに待っていた犬を、お子さんが思いっきり遊ばせてあげまてました。
さっそく猛ダッシュ。急ブレーキしても、カーブでも、まったくすべりません。
ダッシュで走ってきても、キュッと止まります。これはすごい。
UVフロアコーティングの乾燥時間は0(ゼロ)
工事の流れを見ていただくとわかるとおり、UVコーティングは一瞬で硬化するため、乾燥時間は0(ゼロ)です。
終わったらすぐに家具を搬入できるので、普段の生活への影響を最小限にできるのがうれしいですね。
ちなみに、ガラスコーティングやシリコンコーティングの場合、24時間〜48時間かかりますので、その間、部屋を使うことができません。
フロアコーティングしても床暖房は使える
UVコーティングとガラスコーティングは熱に非常に強いとのことで、床暖房をしても大丈夫なのだそうです。
完全に硬化しているので、もちろん、溶けてベタベタしたり、劣化することもありません。
施工の直後から床暖をつけても、まったく問題なく使えていました。
コタツやストーブを置いてもOKとのことでした。
フロアコーティングは必要?
費用はそれなりにかかりますが、20年の耐久性があること・毎年のワックスがけが要らなくなる事を考えると、十分に価値があるのではないでしょうか。
ただ、まとまったお金がかかるのも事実。正直、家中全部をやる必要はないのでは?とも思いました。家族みんなが集まるリビングや、床が汚れやすいキッチンだけに絞ってやると良さそう。
実際の感想を聞いてみた
Sさんに、UVフロアコーティングをやってみてどうだったのか、率直な意見を聞いてみました。
あれがなくなって、とてもスッキリしました!
それでは、逆に「ここはイマイチだった」と思う点も教えてください。
私は今となっては全然気にならないんですが、最初は、こんなに光沢があるの?!と思ったんですね。
ピカピカでないマットな質感?木の感じを残した加工ができるプランがあると良いかなーと思いました。
思いつきなので、技術的には無理かもしれませんが。
マイスターコーティングさんに後日聞いたところ、光沢の出ないUVコーティングは技術的に可能なのだそうですが、耐久性が落ちてしまうので、取り扱いはしていないとの事でした。
Sさん、マイスターコーティングさん、今回は取材の機会を頂いてありがとうございました!